未完成トリコモナス
随想録
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オアシス連載小説   グルマン道子 no34
category: - | author: gie-fujita

      第34回「いつまでもあると良いなは親とカネ」の巻き  

 

                                湯の町とおる

 

2017422日(土)

 

道子の育ての親である川崎丈太郎が死んだ。

 

道子は産みの母親を知らない。ほんとの父親も知らない。

道子が生まれた場所はラブホテルだった。

へその緒を首に巻きつけて息絶えようとする生まれたばかりの赤子を発見したのはラブホテルの従業員だった。

 

それから20数年、

道子は意味があるのか無いのかよく分からないままに人生を重ねた。

 

道子の心中を察する余り、オダマキは「鼻」について考えていた。

 

「鼻」といえば芥川であるが、

オダマキが思い巡らしている「鼻」は小津と原の鼻であった。

日本を代表する世界の小津安二郎は

映画「東京物語」(1953)を撮影しながらあることを発見して悩んだ。

主演女優の原節子の鼻と自分の鼻が良く似ていることを発見して悩んだ。

 

そのとき、小津が詠んだといわれる歌がある。

 

 燃えカスの わが身捨つるは あしたこそ 

                  もんどりうって 双六ふりだし

 

オダマキはこの歌が好きで、道子に内緒で飼っているゴキブリたちを週に一回、屋根裏部屋に集めては吟じる。

そうすると数千匹のゴキブリたちが

祭壇に供えられた千疋屋の果物の匂いを嗅いで失神する。

オダマキは目の前で累々と失神してゆくゴキブリたちを観察して、

わが身の孤独を哀しむのであった。

 

独りマッチポンプ?

 

この世で一番哀しむべき所業である独りマッチポンプを嘆くオダマキの姿を、

同じ屋根の下で暮らす道子はまだ知らない。

                                                (つづく)

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オアシス連載小説   グルマン道子   no33
category: - | author: gie-fujita

      第33回「花粉症にヘタ討つな」の巻                               

                                湯之町 とおる

 

2017322日(水)

 

メタセコイアの森の中で何を探しているのか

マスクをした少女が獣の気配を感じて振り向いた先に

赤ん坊が鼻水を垂らして泣いている。

 

ポララミン、アレロック、ジルテック、エバステル、タリオン、アレグラ、クラレチン、ザイザル、アレジオン、

この中で何が一番穏やかに効き目を現すか?

森の中でそれを知っている者は誰ひとりいなかった。

 

麻貴子の眠りは深く時間は止まっていた。

麻貴子は最近出来た道子の友達で

毎年この春先になると花粉症に苦しみ、

すると決まっていくつもの薬を町の薬局で買ってきては、アレもダメこれもだめとぶつぶつ独り言を言いながら

次から次に薬を飲んで深い眠りに入ってしまう。

そうしてメタセコイヤの森で幼い頃の自分に逢う。

 

ある日の朝、道子はオダマキに麻貴子が花粉症で寝込んでいることを話した。

 

人生下手ばかり打ってきたオダマキは、

ここぞとばかりに【甚助】という八百屋に行って

野菜を一杯買い込んで家に戻るや小刀でヘタを抜き取った。

 

なす、ぴーまん、きゅうり、とまと、かぶ、にんじんのヘタばかりがまな板の上に乗せられて

オダマキの花粉症特効薬の調理調合が始まるや、

隣町に住んでいる麻貴子の眠りはいよいよ深まっていった。

                                   (つづく)

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オアシス連載小説    グルマン道子    no32
category: - | author: gie-fujita

       第32回 「マイクと祝辞」の巻   

                               湯之町 とおる

 

2017220日(月)

 

世の中で退屈なもののひとつに「来賓の祝辞」というものがある。

なぜ退屈なのか?

理由はいくつか考えられる。

が、道子にとってそれはどうでも良かった。

が、オダマキにとってそれはどうでも良くなかった。

 

3日後に「来賓の祝辞」を頼まれていた彼の本音は、

できるならばうっちゃりたい!であり、

そのうっちゃる理由をあれこれ考えているオダマキの様子を見て道子は笑う。

 

「道子ちゃんはどう思う?」

「どうって?」

「いやね、私自身が来賓の祝辞を常々退屈極まりないものと思っているのに、、、」

 

続けてしゃべろうとするオダマキをさえぎって道子は言う。

 

「そりゃ聞く方だって退屈に決まっているでしょ」

「そうだよね、道子ちゃん」

 

それから、オダマキは祝辞を絶対に退屈なものにしない方法はないものかと、

無い知恵を絞っているうちに熱を出して寝込んでしまった。

 

果たして、3日後の祝い事の席にオダマキの姿はあるのだろうか?   

                              (つづく)

 

 

(※今回の写真はマイク鯛損とマイクロフォンの2枚の写真を絡めて掲載して下さい。)

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みなさまへ              
category: - | author: gie-fujita

2017121日(土)

 

このたびはオレのまとまりのない映画企画「ジェラシーパーク」シナリオ化にご参加下さいまして誠にありがとうございます。

実は、オレ、シナリオをちゃんと書いたことがないのです。

また、いままで人様の書いたシナリオを読んだりはしましたが集中できず頭にあんまり入って来ませんでした。

でも今回はそんなことは言ってられない、最後まで真面目にやります。

 

段取りと致しましては、これからオレが書いてゆくあらすじ&イメージシーンとお二人が書かれるもの

(出馬さんは、アイドルが登場するエピソードを書いてみたいとおっしゃっておりました。是非お願いします。村山さんはすでにかなり具体的な梗概を発表されております。)

それらをシャッフルして一本のシナリオにしてゆきたいと思います。

 

まず、大まかな物語の構造ないし骨格としては、よく言われる入れ子構造にします。

以下だらだらとあらすじらしきものを書いてゆきます。        

 シャドウと言う狂った科学者がいます。

シャドウは自称ミュージシャン。

自称ですから、当然音楽では食えてません。

「嫉妬電力発電研究所」なる看板を掲げてなにやらよくわからない研究をしているようです。

この研究所の外観と内観をどうするか?

近未来的イメージにしたほうがいいのかな? 

 

前に研究所の場所を飛騨高山といいましたが、シャドウ役をやってもらおうと思っている車戸克之さんのルーツがそこにあると言うだけの話です。

車戸さんはオレのFB友達で、風貌がジョニーデップみたいな感じでいい味出してます。

まだ直接は会ってませんが、眼つきが鋭くて異常、本人も【ジェラシーパーク】非常に乗り気です。

音楽に対して、自分のスタジオを持ってるくらいのめりこんでいる彼とは来月会ってきます。

 

そのシャドウーのもとに嫉妬過剰な老若男女がやってくる。

というより、まあ、すでにいる。ということにしましょうか?

なんでいるのか?

だまされているのか、それともさらわれて隔離されているのか?

そこのところはつまびらかにしないで物語を進めましょう。

 

とにかく、みんなそれぞれ精神に異常をきたしている患者と言うことにしましょうか。

患者たちに共通しているのは異常に嫉妬深い人間であるということにして、過去に嫉妬に翻弄されて人生を狂わされたり棒に振ったりした経験を持っている。

患者たちは毎日、何回かジェラシーカウンターによってジェラシーのエナジー量を計測される。

放射能を測るガイガーカウンターみたいなジェラシーカウンターは車戸さんが今つくってます。

測るのはシャドウ自身か、綺麗なネイちゃんか、それともオバちゃんか?

少年とか少女が計測係というのも面白いかも、、、。

 

患者たちが研究所の中庭のベンチでくつろいでいるところにサイレンが鳴ってジェラシーエナジーの計測が始まります。

村山さんがご提案されているように、この中庭がジェラシーパークということに致しましょうか。

患者たちは一人ひとりゴージャスな個室を与えられている、それともアウシュビッツ?

前者がいいように思いますが、、、。

 

その患者の中の何人かがおもむろに語りだすそれぞれのジェラシーヒストリー。

そのエピソードを皆さんにシナリオ形式で書いて頂きたいのです。

俺は、何回、絞首されても息耐えない死刑囚と死刑執行人(刑務官)のエピソードを書きます。

  

 

ファーストシーンのイメージ映像としては

 

 

しわしわの手のアップ。

百歳にもなろうかと思われる老人が裸で股を割っている。

その股の中から赤子がハイハイして出てくる。

赤ん坊が、なおもハイハイしてゆくと、丸くて大きな鏡があり、覗き込んで、鏡の中に写っている自分の像を見つめて不思議な顔をする。

(ラカンの言うところの鏡像段階論?)

 

どこにでもある公園ののどかな昼下がり(実写映像)

 

テロップ 私たちの望むものは生きる喜びではなく、私たちの望むものは生きる苦しみなのだ(岡林信康の歌がかぶさる)

 

 

メインタイトル「ジェラシーパーク」

 

 

ラストシーンのイメージ映像

(1月14,、15日 東北浄土ヶ浜で撮影済み)

 

死刑囚と刑務官の何でなのかよくわからない厳寒での対決

 

赤い褌の刑務官が、経帷子の死刑囚を手招きして海に入ってゆく。

海は荒れて吹雪が二人の体に舞う。

 

テロップ  敷島の 大和おのこの行く道は 赤き着物か 白き着物か

      (安藤昇の「男が死んでゆくときに」の歌がかぶさる)

 

俺が死んで、泣くやつ千人、笑うやつ千人、知らぬそぶりが千人か

            まとめてあばよを言わせてもらうぜ  

 

     →暗転して静かにエンドロール

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オアシス連載小説     グルマン道子
category: - | author: gie-fujita

2017121日(土)

 

        第31回「仲良しと仲悪し」の巻     

                                                      湯の町 とおる

 

仲のよい幼友達の友情がずっと続くとは限らない。

それは猫たちの友情も人間と同じだ。

 

道子は、のどかな昼下がりにそんなことを考えていた。

道子のそばには、いつの間にか二匹の野良猫が家ネコになっていてじゃれ合っている。

 

先月号で熱く燃えた

「ジェラシーパーク」の専用映画館をつくろう!

という熱意はどこに行ってしまったのだろうか?

 

そんな道子をよそに

オダマキの頭の中は自分の作った映画をどう公開しようか?

という問題でいっぱいだった。

 

上映時間6時間の映画「ジェラシーパーク」の主な舞台は岐阜の飛騨高山である。

幼い頃から続けていた雷鳥の観察をやめてから、

頭が少しづつイカれてきて、

ある日を境に自分を天才物理科学者と思い込んでしまったシャドウは、

父親の残した莫大な遺産をどう使うべきか丸々3年考え抜いた挙句、

ついに結論を出す。

 

人間誰しもが持つ嫉妬と言う感情、

その嫉妬のエモーションをエネルギーに転換して電気を起こすことは出来ないものか! 

 

狂った科学者シャドウは、

小学生にも「?」と笑われてしまう実現不可能な妄想にオヤジの遺産を全てつぎ込んで、

稀有壮大な狂想曲を飛騨山脈の尾根尾根に鳴り響かせた。

 

「嫉妬電力発電研究所」の凝った看板と異様な研究施設を見た雷鳥は

びっくりして卵をいつもの倍産んだ。

卵はちゃんと雛に孵(かえ)るのだろうか?

 

                        (つづく)

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オアシス連載小説 「グルマン道子」 No.30
category: - | author: gie-fujita

    第30回「年末年始のジェラシーパーク」の巻  湯之町 とおる

 

20161217日(土)

 

よ〜い!

はい!!

カットゥッ!!!

 

「オーケー、オールフィニッシュ!」

 

長かった撮影がやっと終わった。

と同時に、除夜の鐘も鳴り終わった。

2016年の元旦に開始され、断続的に続いた映画「ジェラシーパーク」の撮影がようやく終わった。

メガホンを取っていたのは、途中で消えたオダマキなる精神科医。

 

スピルバーグの「ジュラシックパーク」によく似た題名のこの「ジェラシーパーク」は嫉妬のエネルギーに翻弄される18組の男女の物語である。

この映画の特徴はやたらに長い上映時間(360分、すなわち6時間)にあり、監督オダマキはまったくの休憩なしでの上映を希望している。

オダマキは知っている。

初の長編第一作を自分が望む条件環境で上映してくれる映画館など日本中どこを探してもないということを。

 

ラッシュを一緒にみていた道子がオダマキのプラナリアのような小さな目に唾をねじ込んで言った。

 

「先生!このジェラシーパークはYOUTUBEなんかにUPしたら駄目だよ!」

「道子ちゃん、わかってるよ」

「先生、作ったからには見てもらいたいんでしょ、どうやって見せるの」

DVDにして、、、」

「いくらで売るの?」

「3枚セットで8800円」

「誰も買わないよ」

「そうだよね」

 

ラッシュをみて「ジェラシーパーク」の面白さを確信的に予感した道子は、オダマキの鼻の中に中指を突っ込んで、鼻くその塊を空に飛ばして言った。

「先生!「ジェラシーパーク」の専用上映館をつくろうよ!」

「えっ、どうやって」               

    (つづく)

 

 

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「長生きはつらいよ」
category: - | author: gie-fujita

20161021日(金)

 

みなさん!

 

おはようございます。

 

今朝、亦、生まれて間もないゴキブリの赤ちゃんをすり潰して殺生してしまいました。

 

今、我が家には数千匹のゴキちゃんが生息していると思われ、

毎日、掃除機で吸い込んだり、

掌ですりつぶしても一向にその数減りそうにありません。

 

ボクには手を洗う習慣がありません。

 

なので、ゴキブリをつぶした手で目をこすったり、

玉袋を引っかいたり、

所かまわず体を触りまくったりするので

 

体中がかゆくて仕方がありません。

 

また、起き掛けの定番である モーニング・カプチーノには

ゴキちゃんの漏らしたおしっこや糞便が入っており、

それを毎朝飲むので

 

食道、胃、腸、肛門 がいつも変調をきたしております。

 

これもみな 人間120才 を実践成就するためと思って

我慢忍耐しているのです。

 

今読んでいる「ビルダーバーグ倶楽部」という本の著者、

何とかエスチューリンの過酷な人生を思えば我慢できそうです。

 

何かに、誰かに、愛情と生命を捧げるのは、

私にとって天国に昇ることでもあり、

地獄に堕ちることでもあるが、

 

おそらくその区別はつかないであろう。

 

それがわが身の幸せであり、

生きることそのものだ。

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オアシス連載小説    グルマン道子
category: - | author: gie-fujita

         第29回「昼下がりの献血」の巻   湯之町 とおる    

 

20161019日(水)

 

そうだ!

献血に行こう!!

思いついたらすぐに行動に移す道子は、さっそく街に繰り出した。

 

「川島さん、血が足りないです。」

(人に献血してる場合じゃないですよ、

 スタッフは川島道子にそう言っているのだ!)

 

献血前の検査の結果を聞いて、道子は日頃より貧血気味の自分を思いだした。

 

献血をあきらめて、家に帰るとオダマキ先生から手紙が届いていた。

 

「道子ちゃん! お元気ですか? 私? 道子ちゃんが元気なら元気です。」

 こんな感じで手紙が始まっていて、

「最近、よく思うことですが、どうやら人生にはスンバ!とズンバ!しかないようです。」

 

スンバ!とズンバ!(?) 

 

道子は、あまり馴染みのない言葉にほとんど興味が持てなかったが、読んでゆくとその言葉の意味が書いてあった。

 

スンバ(すんばらしいものに出会った時に思わず発する擬音)

ズンバ(心がずんずん傷むものに出会った時に思わず発する擬音)

 

世の中は相対するもので成り立っている。

男と女、富裕と貧困、贅沢と質素、尊敬と軽蔑、自慢と謙遜、泥棒と寄付、処女と非処女、などなどが書き連らねてあり、

最後に スンバとズンバがあった。

そして、

「スンバとズンバは、一字違いであるがその意味には大きな隔たりがあります。」

 

あまりのくだらなさに道子はオダマキの手紙をくしゃくしゃにしてゴミ箱に捨てた。

                                   (つづく)

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オアシス連載小説     グルマン道子
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   第28回 「二枚の写真」の巻         湯之町 とおる

 

2016916日(金)

 

道子は家に帰った。

街にお出かけして、見たこと聞いたことをあれこれしゃべりたかった。

だが、話を聞いてもらうオダマキは家にいなかった。

食卓の上に写真が二枚、そばに封筒があり、

開けてみると、薄墨色の紙が一枚、

そこには白いインクで文字が書かれていた。

 

道子ちゃんへ

 

お帰りなさい。お母さんには会えましたか?

何日も帰って来ないんで心配してたよ。

私はしばらく旅に出ます。

本当にしばらくぶりです。

いつか行こうと思っていた遠い所に行って

しばらく家には帰りません。

                     オダマキ

 

短い手紙だった。しばらくが三回あった。

写真についての説明はなく、

PS 旅の目的は写真の中にあります。とだけ書いてあった。

 

写真の一枚はキュウリ、一枚は梨だった。

 

道子には、いくら写真を見てもオダマキの旅の目的は解らなかった。

 

 

 

 

                                                                                                                (つづく)

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オアシス連載小説 グルマン道子
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        第26回「叫ぶ道子」       湯之町 とおる

 

2016718日(月)

 

ママはいなかった。

 

オダマキの話を聞いて、きっと道子はアポも取らずに東京拘置所に向かった のだろう。

生まれてこの方、一度も顔を見ていない母に会うという一心で、

道子は事前の確認を何もせずスイカの誰何(すいか)にひたすら希望を託して小菅に足を走らせたのだろう。

 

   浜の真砂は尽きるとも 世にすれ違いの種は尽きまじ

 

確かにママは拘置されていたが、

道子が到着する三日前に執行猶予付きの判決が出て一般社会に戻っていた。

 

そこで道子が母の行方を教えてくださいといくら懇願しても応対した係官は

「個人情報は公開できません」

の一点張り。

実の母の事なのに何で?と納得のいかない道子は突如として叫んだ。

 

「個人情報が聞いてあきれるわい!

フランスならまだしも、この日本に

個人を確立して生きている人間などどこにおるんかい?

誰一人としていないよ!

こういう私を含めてクズ人間ばかりの日本に

守るべき人間の情報など どこにあるんかい!」

 

(道子がどこで、いつから、そんな男っぽい啖呵を切る女になってしまったのか作者も知らない?)

さらに道子はまくし立てた。

「教えてくれないなら上等だい!

こうなったら何が何でも探し出してやる!!」

そういう道子の瞼は厚くはれ上がって今にも大粒の涙がこぼれ落ちそうだったが、道子はぐっとこらえた。

                             (つづく)

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